伝わらないかも知れない
引っ越しの準備をするとついつい昔の本を読みだしてしまう。村上龍の「最後の家族」はひきこもりをテーマにした小説。少々古い(2003年頃)が、今でも読む価値のある本。ちなみに、確かドラマ化もされたはず。(あややが出ていたような。)
テーマはひきこもりだが、実は人のコミュニケーションのあるべき形を示す良作だと、思う。というか、そもそもひきこもり問題とはコミュニケーションの問題だ。
だけど、当然コミュニケーションの問題は、ひきこもりの問題とイコールではない。そもそも、全ての人にとってコミュニケーションは最も基本的なサバイバルの手段のひとつだ。その能力がないと、誰かの保護と運なしにはサバイバルすることは出来ない。
では、コミュニケーション能力があるというのは、どういうことなのか。この小説の中で、一番印象に残ったセリフ。
「コミュニケーションというのは、要するに何かを伝えることだけど、その前提として、ひょっとしたら伝わらないかも知れない、と思うことが大事だって、本で読んだことがある。ひょっとしたら伝わらないんじゃないか、みたいな気持ちがあれば、じゃあどうすれば伝わるんだろうと考え始めるわけだよね。」
これを否定する人はあまりいないと思う。でも、いつでもこれほど真摯にコミュニケーションを行えるかというと難しい。それでも、そうしようと意識することが大切だ。
仕事上のコミュニケーションにおいて、誤解が致命的な問題につながることもある。「伝わらないかもしれない」という危機意識を持ち続けようと意識している人と、そうでない人では、自ずと違いが出てくると思う。
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最後の家族 (幻冬舎文庫) 著者:村上 龍 |
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